Eno.396 最寄近場

【遭難記11】

「イマイチ青空が覗かないな。
 いやさっきまでみたいなカンカン照りも困るっちゃ困るが」


「しかし早くも4日目か……ちょっと心配だな。
 本当に救助なんか来るんかね」


「今んところ沈む兆候が無いのはいいけど。
 いざとなったら漂流も考えないといけないんだなあ」


「…………、……」


「あーあ、ヤな事考えちゃった。やめやめ。
 いらん杞憂はしないに限る」









今でこそ食料供給が安定しちゃいるが、これがもし枯渇状態に陥ったら。
ここにいる連中とも奪い合い、殺し合うかもしれない。
そんな可能性が一瞬でも頭をよぎったことに辟易する。
いやだねえ、二万回も戦って三万回も死ぬような経験をしちまうとダメだな人間は。


どうにも思考回路がそっち・・・寄りになるらしい。