Eno.628 ヴィンシア・ローダン

たまには僕の話も

オブスキュラ世界群 散文世界フィルムニア。
そこにぷかぷか浮いてる"竜の背の街"、それが僕の住んでる場所。

この島には、色々な人がいるんだ。
魔法道具を錬成して、売る人。
依頼を受けて水薬ポーションを作る人。
魔法で動く特別な人形の職人さんに、魔法使いの服を作る職人さん。
魔物の素材を使ったレストランもあるし、冒険者の集まる酒場だってあるんだ。

僕のお気に入りは、「思い出喫茶 逢魔が亭」。
小さいけどとってもイケボで優しいマスターが店長のお店。
名物は「忘れたことを思い出せるパンケーキ」!普通のメニューもあるよ。
僕の"いつもの"はチキンライス、ノーマルなパンケーキ、カフェオレ。

僕はね、そこで働いてる"インディス"っていう、同じインキュバスの男の子と幼馴染なんだ。
彼はすごいよ、一度にたくさんのお皿を配膳するプロなんだ。それに、とっても物知り!
キャンプもその子と、店の店長と一緒に行くことになってたんだよ。

僕はね、彼と同じ魔法学校に通ってたんだ。
僕の世界にはネット回線があって(ない世界もあるよね)、卒業してからネット配信を始めたよ。
いつの間にかそれがお仕事になってたや。
元から人と話したり遊んだりって好きだったし、インキュバスにとって、異性にちやほやされる、これ以上魅力的なお仕事はないと思うよ。

……僕が配信者をしてなかったら、何になってたんだろう?ふふふ。
たまにはこういう考え事も悪くない、かな。