Eno.201 《ヨダカ》 宇

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星に関する珍しい事象を聞けば喜々として望遠鏡を持ち込んで至る所で星を見た。
世間がどうなっていようと、今何が問題になっていたかなども聞く耳もなくて、私はどこまでも星を追いかけた。

これもそんな出来事の一つだった。
こぐま座流星群。近々それが見られるということを聞き、
私はある雪山を一人で登山し、特別綺麗な場所で流星群を観察しようとした。
下準備も注意深く行い、登山を始めてから数時間、絶好の場所へとたどり着き私は天体観測を行った。

だけど、どれだけ注意深く準備しても偶然や自然の災害には敵うことはない。
その時、急に地面が割れるかのように崩れた。
細かな振動により、雪が崩れそのまま私は雪崩と共に深い深い雪の底へ沈んでいった。

結末を答えれば、私は奇跡的に生還した。
ただし、五体満足とはいかなかった。
ただ車椅子の上で、私は輝ける星を見上げ酷く涙を零していた。