Eno.83 觥 絵馬

報告記録06

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コタロー
「二度有る事は三度有る、と言うてな。
 又同じ事が有ると想定して置くのが賢明と云うものじゃろう。」


絵馬
「理解出来る想定です。」


コタロー
「そして、三度も有れば偶然為らず、必然じゃ。
 詰まり、彼の地と此の地に繋がりが出来てしもうたと云う事にも成ろう。
 其れを潰すか残すか…は、わしが判断する訳じゃが。」


コタロー
「其の判断をする為にも、情報は欲しい訳じゃ。」


絵馬
「斥候を務めれば良いという事でしょうか。」


コタロー
「うむ……いや、積極的にそうしたい訳でも無いんじゃがな?
 若しも御主がそう云う目に遭うた為らば、じゃ。」


絵馬
「理解しました。
 偶発的に事態が発生した場合は、情報収集を優先します。」


コタロー
「いいや? 最優先は御主が無事に戻る事じゃぞ?」


コタロー
「じゃからほれ。護符は持ち歩いて於くが良いぞ。」


絵馬
「了解しました…が、これはどの様な装備なのでしょうか。」


コタロー
「持って居れば、媒介にしてわしが手助けする事も出来る。
 若しもの時は、如何にかして助けてやろうぞ。」


コタロー
「言う程万能でも有らんから、自力で脱出してくれるなら其れが一番じゃがの。」


絵馬
「理解しました。最善を尽くします、司令官相当殿。」


コタロー
「ま、美鳥の奴でも如何にか成った位じゃ。
 そう気張る事も無かろうし、抑々そう云う事に成るかも分からんしの。」


コタロー
「…然し、其の司令官相当とか云うのは、そろそろ止めて欲しいんじゃがのう。」


絵馬
「指揮系統を明確化する為にも、必要な呼称と判断します。」


コタロー
「融通の利かん奴じゃ。
 わしは御主に命令して居る心算は無いんじゃがの。」



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