Eno.197 小瀧と南海

行動記録:四日目

小瀧の手記

今更ながら、この島は高低差があまりない。森や岩場に多少は存在するが所謂、山というものがない。離島も同じく、そうである。
いずれ、潮位の上昇によって沈むというのも冗談ではないだろう。そうなる前に助けが来たらいいが、気づかれているのか、果たして本当に船が通るのか……ボトルの中の手記にかかれた内容は全て定かではない。

漂着物は見たことがある、言ってしまえば海のゴミが多いのだが、そこには私が見たことのない形のものもある。明らかに、私が知る世界とは違うものだ。
この島、それともこの世界と言うべきか。ここの存在に作為的なものを感じている。この場所は偶然ではない、何かの目的があって作られた場所なのではないだろうか?

拠点の状況は悪くはない。だが、島の探索は頭打ちだ。来るかわからない助けを待つだけ、というのは精神的な負担を伴う。ほかの皆も、口には出さないが思う所もあるだろう。
しかし、自力でこの場所を脱出する方法など見付かるだろうか。

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南海の手記
嵐が来た。拠点の補強が間に合ったので、恐らく安全は確保されただろう。休んで体力の回復につとめるとする。

俺が去年生徒を迎えに行った場所も、海に沈もうとしていた。ここも、そろそろ危なくなって来ただろう。あの時の事があったから、拠点の整備を優先した。おそらく、竜宮君なら気が付くだろう。この場所と元の場所の時間軸が同じならば、ではあるが。
嵐の向こうに船が見えるという声が聞こえる。船の状態によっては拠点を移す事を考えてもいいかもしれない。

あの時は、迎えの船とは別の船が……あったような?