【11 閑話 飾られるだけの人形は】
僕は、ふわふわ、ふりふりの服が嫌いだ。
女の子らしい格好や、女の子らしい言葉が嫌いだ。
他の子を見ているのは構わないけれど、
僕がそのようになるのが嫌いだ。
「……王子様のような服を纏い、
王子様のような言葉で話し、
王子様のように武術を覚え」
なりたかったのは。
「……僕は、フロルの家の
お人形さんじゃない」
花魔法の力を持たぬ僕は、
好きでもない誰かと強引に結婚させられる定め。
そんなの嫌でたまらなかった。
女の子らしさはお人形さんの象徴だ。
そんな僕は、捨てないと。
僕が僕である為に、選んだ格好と言葉と行動。
かわいいお姫様じゃなくて、
凛とした王子様のようになりたかった。
でも、まぁ。
「……リシアンサスやクライルが望むなら、
たまには服装、変えてもいいけどね」
昔は嫌いだった女の子の格好。
これから皆と過ごすうちに、
好きになれる日も来るのでしょうか。