Eno.1 フランチェスカ

航海日誌 6日目

この島は沈んじゃうみたい。
そんなことになる前に、救助してもらえるために、
できることはなんでもやってみようと思います。
生きていれば、もしかしたら、ひょっとして、また来れるかもしれないから。
同盟艦の艦長さんがそうゆってたもん。

みんなで大きな船を作る材料を集め始めたんだけど、
金属材以外は元々かなり貯まってたし、金属材も何時間かで集まったよ。

漂着船で汽笛を聞いた。
わたしのラッパのこだまじゃないなら、きっと汽笛。
わたしは信じてる。たぶんみんなも信じてくれる。
神さまは見てくれてる。

千重さんがまたおいしい懐かしいカレー、食べられますように。
みやげさんが今日のことを楽しかったって思い出してくれますように。
メナードさんの行く道が楽しきものでありますように。
ゼルカさんがまた駄菓子を食べられますように。
アルカさんが暮らしやすい所へもどれますように。
ネイトちゃんが家族の所へ帰れますように。
レグルスさんにすてきな人が見つかりますように。
かにさんが栄えますように。
イチサブロー隊長さんがこの島のことをずっと覚えていますように。
ヴァハさんの名前と魔法が全世界にとどろきますように。
妹子さんが都会に辿り着けますように。
椎奈さんのラーメン屋台に行列ができますように。
ああ。神さま。
書ききれないほどの尊き想いと命がここにあります。

聴け。
われはヌウロ
しかして空想にあらず。希望なり。
われはフランチェスカ芙蘭梔子花
0より出でし花なり。

空想より生まれし奇跡の先触れなり。

聴け。
星よ。
船旅人よ。

われらを見出したまえ。
後の5000兆年にも
われらの思い出を
われらに想わせたまえ。
われらに語らせたまえ。
われらの命を 救いたまえ。