Eno.26 アルセ・K・ディアス

もしかすると

遠くで音が聞こえる、方角を確認すると島の外、海の何処か。もしかするとこれは汽笛なのかもしれない。

帰る為の光明が見えてきた、必ずしも救助してもらえるとは限らないがその可能性があるのと無いのとでは全く違う。この海で船を作ると世界を越える能力を持つらしいという後で報告するのも嫌な特性があるようなので、船に乗せて貰えれば帰れる可能性は高いだろう、相手が友好的ならば。

まあ、自分達で船を作る用意はしつつもそれなりに期待して待つことにしよう。それと帰れる目処が立つのなら……やたら集まった金貨や銀杯はどうしようか。どうせ難破船に乗組員は居なかったから所有権を所有される事は無さそうだし、自分で見つけた分位は貰っていくとしよう。土産にもなるし、換金も出来るしな。それと銀杯は可能なら家族全員分欲しいな、普通はそうしないだろうがコップとして使えるし。

会いたい、家族に会いたい。この島での生活は悪くないが、それはそれとしてやはり帰りたい。待つ事の辛さを知っているから、待っている人が居る場所へ帰りたい。