Eno.203 二博 刹那

最後の晩餐

私の娘、二博刹那は大病を患っている。

医者からそれを伝えられた時、具体的な病名を聞く前に気絶してしまいそうだった。

『人間は死ぬ病』と

非情にもそれは刹那の耳へ
背中越しにロングヘアーの青磁色の髪が大きく揺れたのが伝わった。


小学5年生にもなり、人一倍ヒュマモンが好きで
落ち込んだ私を励ますため、自身が医者になって自分で治すと豪語した
私の大事な一人娘である。



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私の職場は研究所である。
職場仲間で、友人である飛雄馬=リンリカイム博士と、新たなプロジェクトを立ち上げた。

この研究は人々の命を救うモノ――
成功すれば、私の娘は死なずに済む。

『"人間"は死ぬ病』に打ち勝てると。



――

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―――――――私は、娘は、覚悟した。


その研究の成果を、広く、大きく出すのはヒュマモン世界大会の日。
見送るために奮発した夕食に、笑顔の娘は青磁色の短くなった髪を小さく揺らした。