Eno.297 ハイウェイマン

Javelineer

上等な正規兵を目指す子供たちのグループに入ってから2~3年。
やはり下級とは言えど貴族という事で、週に1回は引退した古参兵が指導に来てくれるのは、大きなメリットだった。

「先生、20メートル先の標的に大体当たってますよ。
 5発中3発で一流なら俺って?」

投擲は格別伸びが良くて、結構得意になってたなあ。

『坊主、投げモノの世界には一発三中って言葉があってな。』

「三人に当てるんですか?」

『そうじゃなくて、相手は鎧も着てれば盾も持ってるだろう。
 一発で盾を貫いて相手に傷を負わせるのが二中、あたかも盾も鎧も無いかのように生身に刺さるのが三中だ。』

「へー……力が要りそうですね。」

『具足の構造や、相手がどう攻撃を防ごうとするかも分かってないといかんぞ。
 それも踏まえて、超一流の基準は五発八中とされる。』

「となると三中は超一流でもそう起こらないんですね。」

『頻繁に起こるなら、兵士は皆半裸で盾も持たずにジャベリン投げとるわい。

「確かに………。」


酔いつぶれて、懐かしい夢を見ていた。