Eno.328 天使グッドラック

むっつめの幸運

俺は幸運だ!
皆で食卓を囲んで、たくさんご馳走を食べた!
皆、昨日の嵐でやってきた海賊船でいいものを拾えたみたいだ。
まさかカレーが作れるなんて。……カレーはな、自炊できんだぜ!
家庭科の授業でやったからな。

師匠が作ってくれたんだな。
猪の鍋も、魚とエビの鍋も、ラーメン(!? だよな)も。めちゃくちゃうまかった。
シルクが作ってくれた飴も、多めに分けてくれたクッキーも。
不格好でも優しさが詰まって、何十倍も甘かった。

俺は家族で食べる飯が好きだ。
うちは大家族なんだぜ。
じいちゃん、おばさんおじさんいとこのアニキ、
オヤジにオカン、姉ちゃんと妹と弟がふたり。
大皿料理じゃないと足りないから、毎日が宴みたいなもん。
……俺が天使になってからは、なかなか食えてなかったけど。

俺はやっぱりちょっとだけ、師匠とシルクに家族を重ねてる。
ふたりに元気でいてほしいと思う。
灯台ができて、花火も上がって、遠くからぶおーって音が聞こえなくもない。
助けの船が来たら、皆離れ離れになっちまうよな。
寂しいな、って思う俺もいる。

俺は幸運だって、ずっと言ってないと不安だった。
だけどふたりから知恵や元気を分けてもらって、
そして俺の幸運を信じてもらえて。
ちょっと肩の荷が下りたような、そんな気がしているんだ。

ああ、俺って幸運だな。