Eno.528 わしししょう

ひかりにてらされるわしたち

島のあちこちに、旗が立ちます。
ひとつめは、だれかさんの羽のような色あいの旗。
ふたつめは、だれかさんの服の模様ににた柄の旗。

「海賊船に丁度いい柄の布があってよかったのぉ」


みっつめは、白と黄色の布をつなぎあわせた旗。
くちばしでぷすりと穴をあければ、だれかさんの顔のよう。

ボトルメッセージによる、船がとおる可能性の日まであとわずか。
ここへ流されて数日のあいだ、皆で生きのびてきました。
ただ飢えをしのぐだけではなく、ごちそうまでできました。

「おいしいものを皆で食べると、もっとおいしくなるのじゃ」


テーブルを囲んで、カレーを、鍋を、麺を、デザートを、ぱくり。
うたげの締めには、ぴかぴかにした大砲を、がちゃり。
そして、空に星をうちあげます。ひゅるるるる……。

 ドーン!


あざやかな光のした、生還への決意をあらためてかかげます。
見えてきてしまった遭難のおわりにそなえ、写真の約束もして。
すっかりなじんだおやすみのあいさつで、眠りにつくのです。

島に、汽笛のような音が近づいてきていました。