8:活動記録/■■■■
記入者:Niraicanai
僅かながら、潮が上がってきている。そろそろ、終わりの時が近いのだろう。
……少しだけ、もう少しだけ………いや、ずっとこの時間が続いて欲しいと思うのは……我儘なんだろうな。
一瞬でも憎悪を忘れられるようなこの時間を手放すのが、惜しい。
でも、目的を履き違えちゃなんない。最優先すべきは全員を生還させることだ。俺含めて。停滞の箱庭に留まって、革新を続ける訳にはいかないんだ。
……何より炎は消えていない。皆んなが何を抱えてるかはわからないけどさ、
この炎に巻き込む訳にはいかない──だなんて、まあ、ちょっと格好つけか。
あー、でも。帰ったら報告書整えることになりそうでヤダな……………
──────────
「ニライが海に落ちて行方不明」って話を聞いたのは数日前のことだ。
レギンレイヴの率いるヴァルキュリア隊による、太陽魚の大量出現の確認と、『遺構』の調査のために、海辺の村に行っていた。
そして海岸を調査中に、突如現れた魔物────嵐大狼に襲われ、海に落ちたのだと。
フェンリルはレギン達が討伐した。
けど、ニライは見つかっていない。見つかったのは、得物である銃剣だけだった。
「───だから、僕たちが探しに行くって言ってるんだ……!」
「いくらお前でもダメだ、カルナ。この時期は海は荒れやすく、太陽魚の大量出現もあって危険だ」
「対策くらいしていく。責任もとる。だから」
「ダメだ。……少なくとも天気がおさまるまであと1週間は待て。死んでいたらその時はその時だ」
「レギンレイヴのわからず屋!手遅れで死んでたらどうするの……?!」
「わからず屋で結構だ。……死体さえあれば、その時はその時だな」
「もういい、勝手に行く!」
「ちょ、待て、カルナ!」
僕はそのまま宿舎を飛び出して、駆け出した。
結界の境目あたりまで来た時、後ろから声がした。
「っ……おーーい!!カルナ!!」
「……イーハ。止めても無駄だって」
イーハトーヴ・アウロラバアル。ニライの同期で、僕も含めて3人でよく馬鹿やる仲。人間で18歳。
ニライも含めてだけど、一応僕のが上司にあたる。けど、そんなの関係なくて。何より、どっちかというとイーハはヘラクの隊なんだけど。
「止めに来たんじゃないって!俺も手伝わせろって言いに来たってトコ!」
「えっ。レギンかヘラクの差し金じゃないんだ。意外」
「傷つくなあ?!……さすがに心配なんだよ。ニライは簡単に死ぬようなタマじゃないのはそうだけどさ」
「……同行許可。イーハの探知と嵐魔法は、間違いなく役に立つし」
「同行許可感謝しますよっと………で、どうやって行くん?」
「飛ぶ」 「えっ」
浮遊槍を起動して、ヴァサディの方に飛び乗る。
イーハはシャクティの方ですくい上げて、掴ませる。
「行くよ」
そのまま、高速射出の要領で射ちだした。
イーハの悲鳴は聞かなかったことにした。
………………
………
僅かながら、潮が上がってきている。そろそろ、終わりの時が近いのだろう。
……少しだけ、もう少しだけ………いや、ずっとこの時間が続いて欲しいと思うのは……我儘なんだろうな。
一瞬でも憎悪を忘れられるようなこの時間を手放すのが、惜しい。
でも、目的を履き違えちゃなんない。最優先すべきは全員を生還させることだ。俺含めて。停滞の箱庭に留まって、革新を続ける訳にはいかないんだ。
……何より炎は消えていない。皆んなが何を抱えてるかはわからないけどさ、
この炎に巻き込む訳にはいかない──だなんて、まあ、ちょっと格好つけか。
あー、でも。帰ったら報告書整えることになりそうでヤダな……………
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「ニライが海に落ちて行方不明」って話を聞いたのは数日前のことだ。
レギンレイヴの率いるヴァルキュリア隊による、太陽魚の大量出現の確認と、『遺構』の調査のために、海辺の村に行っていた。
そして海岸を調査中に、突如現れた魔物────嵐大狼に襲われ、海に落ちたのだと。
フェンリルはレギン達が討伐した。
けど、ニライは見つかっていない。見つかったのは、得物である銃剣だけだった。
「───だから、僕たちが探しに行くって言ってるんだ……!」
「いくらお前でもダメだ、カルナ。この時期は海は荒れやすく、太陽魚の大量出現もあって危険だ」
「対策くらいしていく。責任もとる。だから」
「ダメだ。……少なくとも天気がおさまるまであと1週間は待て。死んでいたらその時はその時だ」
「レギンレイヴのわからず屋!手遅れで死んでたらどうするの……?!」
「わからず屋で結構だ。……死体さえあれば、その時はその時だな」
「もういい、勝手に行く!」
「ちょ、待て、カルナ!」
僕はそのまま宿舎を飛び出して、駆け出した。
結界の境目あたりまで来た時、後ろから声がした。
「っ……おーーい!!カルナ!!」
「……イーハ。止めても無駄だって」
イーハトーヴ・アウロラバアル。ニライの同期で、僕も含めて3人でよく馬鹿やる仲。人間で18歳。
ニライも含めてだけど、一応僕のが上司にあたる。けど、そんなの関係なくて。何より、どっちかというとイーハはヘラクの隊なんだけど。
「止めに来たんじゃないって!俺も手伝わせろって言いに来たってトコ!」
「えっ。レギンかヘラクの差し金じゃないんだ。意外」
「傷つくなあ?!……さすがに心配なんだよ。ニライは簡単に死ぬようなタマじゃないのはそうだけどさ」
「……同行許可。イーハの探知と嵐魔法は、間違いなく役に立つし」
「同行許可感謝しますよっと………で、どうやって行くん?」
「飛ぶ」 「えっ」
浮遊槍を起動して、ヴァサディの方に飛び乗る。
イーハはシャクティの方ですくい上げて、掴ませる。
「行くよ」
そのまま、高速射出の要領で射ちだした。
イーハの悲鳴は聞かなかったことにした。
………………
………