Eno.5 烏丸 夜交

烏丸夜交の黙示録Ⅴ †魔性†

「嵐の中ぁ
 船を探索してたらぁ
 頭に香辛料刺さっちゃってぇ」


「拠点に戻ると永埜目が治療してくれた。
 そこで、あいつが抱えていた悩みを
 ゆっくりと教えてもらったんだが……」


「……俺は正直、
 あいつが自分で卑下するほど、
 他に比べてあいつ自身の外見が劣っているとは
 思っていない。だが……」


「もし俺がそれを説得して、
 万が一あいつの悩みが解決してしまったら、
 今のメンダコめいたおどおどした姿が
 もう見れなくなるかもしれんと危ぶみ、
 言うのやめた…」


「あると思いますよ。
 怯えてる永埜目が一番かわいいと思う層」






「……まぁ、本来、魅力という分野において
 臆病さや卑屈さはマイナス要素に捉えられる」


「…だが、それらの欠点が
 人を惹きつける力を持つのなら、それはもはや
 永埜目ながめの生来が持つ魔性と呼んでも
 差し支えないのではないか」


「まぁもし今後……
 あいつの悩みが解決することがあっても、
 それは新しい魅力を獲得したってことだしな」


「変わっていくのか、変わらず愛らしいままか。
 この島を出た後の楽しみの1つとしよう」