Eno.112 【空繋ぐ機装魔導師】七曜

新三章【月無き夜想の魔法神官】

 ある日、女の子は無邪気な緩んだ表情で魔女に甘えました

 魔女は普段絶対しない表情に戸惑いつつ
 子供らしく甘えたい時もあるのだろうと甘やかしました

 その日から、女の子の様子は徐々におかしくなって行き
 限界が近いのだとわかってしまいました

 それに連なるように、
 XXXもXXXXXX、XXXXXがXXXXXXXX

 大切を助けるための力を求め
 誕生日の夜、魔女は星詠となりました

 しかしその瞬間、助けられない未来を魔女は視てしまいました


 何度も、何度も、何度も
 未来を変えようとあらゆる未来を見た

 どの未来でも彼女は力尽きてしまい
 やがて目覚めなくなった

 もしあの時、あの子と出会ってなければ
 みんなと共に戦ってなければ
 君は今も普通に生きられたのだろうか?

 そんな叶いもしない事を思ってしまい、呆れてしまうが
 助かる道が少しでもあるなら、それに縋りたくもなった

 過去も、歴史も、過ちも
 信じた全てを燃やし尽くしてしまおうとした
 でも僕にはそれが出来なかった

 なんでそんなに重なるんだ?

 なんでこんなにも息が苦しいんだ?

 これは、たくさんの人を殺しても尚
 のうのうと生きてる僕への罰なのか?


「ならば、そんな運命壊してしまいましょう」

 そんな言葉が聞こえた気がした

 そうか、最初からこうすればよかったのか

 冷静にただ秩序的に
 全てを狂わせた憎き運命の力だって、僕の糧にすればいい

 残酷で最悪な運命を壊すためなら、どんな手段だって使ってやる

 例え全てが救われたとして、そこに僕がいなくても構わない
 僕はもう君達と一緒にいる事はできない
 君達が幸せに生きてくれるなら、他に何も望まない

 なら、壊れた僕は消えてしまっても構わない

 ボクが全てを引き受けよう

 今度こそ物騙り・・・にしないために
 全てを捧げて、戦って、勝ち上がって行くんだ

「そう言えば、名前を聞いてなかったわね
 あなたの名前を教えてくれる?」


「……ツルバミ。月無き夜想の魔法神官さ」

 全て忘れて眠りにつくことが正しいなんて事はとっくにわかっていた
 でも絶対に忘れてなんてやらない。過去も未来も奪わせてやるものか

「さぁ、全ての夜を眩い光で染めてしまおう」