Eno.451 船長

船長の悲哀

花火に汽笛、この島もずいぶん賑やかになったな。
……いやまあ、ハナっから賑やかだった気もすんな。
遭難したってんで葬式みたいな空気になられるよりゃずっといい。
おれも含めて死者がいくらか混じってるのに笑えるぜ。

そういや、あんま怖がられた覚えがねぇな、初日から。
おれを初めて見た時くらい、キャーってな悲鳴上げたり、
驚いて飛び上がったりとか……するヤツいなかったな……。
いきなり流されてそれどころじゃなかった、って話かもしれねぇが……。

……なんだかな、ある意味傷つくぜ。
死人にだってプライドってもんがあらぁ。
もうちっと怖ぇ顔すっか、次があったら。

あってたまるか。