Eno.463 スラオシャ

ガラクタの山の王さまと、王女さま。

相棒という言葉を耳にするたびに、ぼくは不思議な違和感を覚える。

僕には、僕と共に世界大会を制覇する夢を誓い合った相棒がいる。
でも、それ以上にもっと大切な──絶対に忘れてはいけないはずの。僕にとっての、かけがえのない何かが…あったような気がする。
なんていうか、心の中にぽっかり穴が開いてしまったような。そんな気持ちだ。

記憶を失った僕は、今も少しずつ相棒の事を思い出している。
彼がユウトという名前だったという事までは…はっきりとわかる。

ただ、それと一緒に…とうの昔に忘れてしまったはずのもう一人の相棒の姿が、僕の脳裏によみがえる。


…腐れきったあの街で、共にガラクタの山の王になる事を誓い合った相棒。
闇社会のしのぎに手をかけて死んだ…どこまでも無鉄砲な相棒。

彼の手を取れば、彼はどこまでも僕を連れて行ってくれた。
彼は、僕の知らないものを沢山見せてくれた。

小さい頃はヒュマモンバトルの地方トーナメントの試合をタダで見るために二人で何メートルもあるフェンスを登ったこともあった。
…降りるときに足をくじいて、痛かったのを覚えている。




…そうだ。あの時使った手榴弾は、結局爆発しなかったんだ。
僕は連中にボコボコにされて…そして、死ぬよりもひどい事をされた。

素体の厳選。水準を満たせないものはすべて廃棄処分。

…僕は彼らの提示したあらゆる実験にすべて合格した。


そして僕がようやく目を覚ました時、僕の体は…もはや人の原形を留めてはいなかった。