Eno.466 ヨッドラン

ぼろぼろのくま

ぼろぼろの荷馬車

食い散らかされた馬や食糧

ひと、ひと、ひと

家財道具を詰め込んで、新天地を目指す途中だった

私は、ただ黙って、息を潜めて、隠れて難を逃れた。
それが過ぎ去るのをひたすらに待っていた。

救援の戦士たちが着いたときには、何もかも手遅れだった。

足元には、飛んできたのか転がってきたのか、くまのぬいぐるみが落ちていた。
色褪せて毛並みも悪い、くたびれたぼろぼろのくま。

行く当てのない私を何も言わず受け入れてくれた善良な家族。まだ小さな子供。

我が身可愛さに見捨てたあの子。


あの子のくま。