昔話/ とべないわしでただのわし
ぼろぼろのわしが、草むらでうずくまっています。
そのわしは、飛ぶのがへたくそでした。
ぜんぜんまったく、空を飛べませんでした。
地面をよたよたと歩いて、おちている木の実や、
ほかの動物の食べのこしをつついて、生きながらえていました。
ほかの動物におそわれても、空へ逃げることもかないません。
そんなわしでしたから、ぼろぼろになっているのです。
傷ついた体を動かして、どうにか草むらへかくれて。
そこで、おわりです。そのはずでした。
「おや、死にかけの鳥じゃ。実験体に丁度良いの」
わしの頭の上から、つめたい声がふります。
わしはもう動けないし、人間の言葉もわかりません。
わしにわかるのは、じぶんに近づくだれかが、
やさしく、そっと、じぶんの体を持ちあげる感触だけでした。
しゃべるわしができるまで
~ 完 ~
そのわしは、飛ぶのがへたくそでした。
ぜんぜんまったく、空を飛べませんでした。
地面をよたよたと歩いて、おちている木の実や、
ほかの動物の食べのこしをつついて、生きながらえていました。
ほかの動物におそわれても、空へ逃げることもかないません。
そんなわしでしたから、ぼろぼろになっているのです。
傷ついた体を動かして、どうにか草むらへかくれて。
そこで、おわりです。そのはずでした。
「おや、死にかけの鳥じゃ。実験体に丁度良いの」
わしの頭の上から、つめたい声がふります。
わしはもう動けないし、人間の言葉もわかりません。
わしにわかるのは、じぶんに近づくだれかが、
やさしく、そっと、じぶんの体を持ちあげる感触だけでした。
「そしてワシは改造手術を受け、
今のワシになったのじゃ!」
しゃべるわしができるまで
~ 完 ~
「今ごろ師匠は、空で楽しくやっているかのぅ」