Eno.114 小浦千重

無念を晴らせ

俺はあの漂着船に乗り、仲間の待つこの島に物資を運ぶ役割をしていた。
しかし、大嵐に会いそのまま漂流してしまった。
さらに運が悪いことに病に倒れ、そのまま死んでしまった。

それから、幾星霜。魂のみになった俺は船と共にナガサレ続けた。
仲間たちも生きてはないだろう。無事に生きて島からでたのだろうか。

仲間たちに物資を届けたかった。また一緒に飯を食べたかった。
叶わない願い。無念の想いだけが積もっていく。

『誰か俺の声を聞いてくれ・・・』

何度も何度も声を上げるが誰にも届くことはなかった。

しかし、ある嵐の日に船が大きくナガサレ、この島にたどり着いた。

見知らぬ者たちが、我が物顔で船の物資をもっていく。
これは俺の仲間の物なのに・・・。

そこに一人の女性が現れた。この身体の主である。
その女は俺の声を聞き、この身体を使って無念を晴らせという。

俺の無念。それは・・・。