Eno.234 越智出久

タロット占い師の内心【6】

この世界の秘密を知りたがるひとたちが出た。
各々の生存や脱出を優先しつつ、手が空いていれば協力して解明しよう、という話で纏っていた。
どうやら嵐の中、或いは去った直後に拾えたらしい不思議な石が鍵みたいだな。

そんな俺はというと……

メナードが皆から離れて蹲ってたから、そっちに来た。
星の記憶には確かに興味はあるし、知りたくもある。
でももう、協力者は充分居る。俺一人くらい居なくても、多分何とかなるだろ。
そう思ったから、メナードの隣に座ってちょっとお話しした。

ヵヮョが言った「生き返らせて連れて帰りたいひと」ってのは、やっぱりメナードの事だった。
今は死人魂だけの存在、本来ならもう存在してないはずのイレギュラー、でもこのままじゃ完全に消えちまうって。
メナードは俺たちに心配かけさせたくなかったから、今まで言わなかったんだって打ち明けてくれた。

ビリーも今は同じような状態だけど、あいつは未来、転生する。つまり、『これから』がある。

……じゃあ、メナードは?

もしかしたら、もう『これから』が無いのかもしれない。
このまま魂まで消えたら、今度こそ完全に死んじまうのかもしれない。
それは、俺個人としては嫌だ。
せっかくこうして巡り会えた戦士に、もう二度と会えなくなるかもしれないのは嫌だ。
だから、何かしてやれないか、何とかしてやりたいって伝えた。

メナードは「生きたい」「皆と一緒に居たい」「死にたくない」って言ってくれた。
彼女はまだ、生きたいと思ってる。その意思がまだ、残ってる。
だったらきっと、ヵヮョの計画は成功すると思う。内容はよく知らねーけど……。

もしメナードが生き返る事ができたら、そん時は一緒に笑ってこの島脱出すっか!










皆の居るとこに戻ってきたらワイコロが始まってたんですけど????? ここがパーティ会場ですか?????
……でもなんだかんだで楽しいっちゃ楽しいんだよなぁ。
ちょっとだけ込み入った話題も入っちゃったけど、かつては雲の上に居たような戦士たちと、こうして近くで話し合っている。
あの祭典ぽれんに参加しただけじゃ、中々こういう機会は訪れねえからなぁ。

そういう意味じゃ、今回は貴重な体験ができたかな。
できれば可能な限りまた流されたくはないけど……!!










眠りから覚めた直後、ヵヮョとメナードが拠点から出ていくのが見えたから、ちょっと追いかけてみた。
砂浜に着くと、丁度計画が終わったとこで、ヵヮョがメナードを抱きしめていた。
魔力でできた義体を手に入れた事で、もう魂が消える事は無さそうだ。
人間仲間が一人減ったのはちょっとだけ寂しいけど、そんなものは些細な事、生き返った事実の前には霞むぜ!

――……良かったな、メナード。