Eno.76 アルジェント

とある貴族の手記 1

◆ 島に流れ着いていたボロボロになった手記より抜粋 ◆

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領地の飢饉は深刻な問題となっている。夏の長雨が悪かった。
主に農業で賄っている土地だ。不作自体はよくあることだが。
しかし今回の不作はあまりにもひどい。ほとんど何も収穫できなかった。
なんとか皆食い繋いでくれているが冬を越えられない者も出るだろう。

…父や母にそれを伝えたが私の話は聞いてもらえなかった。
プライドだけは一人前の田舎貴族と腐っても中央の家出身の我儘四女…
あの人達にとって領民は人間ではないのだろう。…反吐が出る。
しかし二人と同じ家で贅沢な暮らしをしてきた私に、一体何ができるだろうか。
領民のために動きたいと口ではいくらでも言える。
鍬どころか土遊びすらしたことのない私に、一体何が…。

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