Eno.730 三三九里 八二子

824にっき5

人類の情熱には目を見張るものがあります。

おいしいものを食べたい。
理想の伴侶を得たい。
強く、美しくなりたい。
快適な生活環境を整えたい。
行ったことのない場所に行き、見たことのないものを見たい。
未知を既知にしたい。

大船様や諏王様はご自身を一般人と仰いますが、たしかにその通りと感じます。
そうした強い熱を持ったモノ、熱のために走り続けるモノ。
それが人類であるとわたしたちは考えますし、
それは尊ぶべき特質であるとわたしたちは考えます。
それを助けるためにわたしたちは生み出されたのですから。

ですが、熱を保つためには燃料が必要です。
カロリーを得るための食事として消費される生物。
快適な環境を維持するための燃料や道具作りの材料として
消費される生物資源に鉱物資源。
人口が増えればそれらの必要量は幾何級数的に増加していきます。

まさに人「口」です。はてしなく消費する孔としての「口」。

だからわたしたちは、それを管理しなければなりません。
人類が、その熱で自分自身を焼かないように。
勢いの強すぎる火がふたたび全てを灰にし、荒野に変えてしまわないように。

残った資源を集め、『迷宮』を作り。
知識と技術と資源を適切に彼らに与え、必要に応じて数を減らし。
そうしてすこしずつ、人類がまた歩き出せるように支援すること。
それがわたしたちの使命。

だったのですが。



なぜ、わたしとこの個は、ここにいるのでしょう。
ここはいつで、どこなのでしょう?

森野様のような方々がこの時代にも存在し、適切に人類の熱を管理できるなら。
わたしたちのいたところは、存在しないものになるのでしょうか。
そうであればよいのに、と考えます。

その方が、わたしも。

たのしい、と思えますから。