【14 迫る別れと贈り物】
海面が上昇してきた。
船が停泊しているのが見えた。
あぁ、終わるんだなと思った。
終わってしまう、この島での生活が。
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「…………終わりたく、ない」
永遠に続けば良いのに。
みんなと別れるんだと思うと、
寂しくてたまらなくなって、苦しくて。
いかないで、いなくならないで。
子供みたいに我儘を言いたくとも、
大自然には逆らえないんだ。
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「……せっかく、みんなと、
ともだちに、なれたのに」
寂しくてたまらないや。
◇
僕が居た証を残したかったから、
鮮やかな花を勿忘草に変えて、ムーねーさまに贈った。
僕を忘れないで、僕を覚えていて。
この島にいるうちはせめて、いなくならないで。
僕の中に潜む、
寂しがりで愛されたがりの自分を知っている。
そしたら、ねーさまは素敵なポプリをくれた。
……ありがとう、宝物にするよ。
◇
クライルとリシアンサスにも贈り物をした。
クライルには赤いゼラニウムのポプリ、
リシアンサスには勿忘草を彫った指輪。
君ありて幸せ、真実の愛。
僕たち3人は、これからも一緒だ。
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「……ふたりがいるから、
寂しいだけじゃ、ない」
寂しさに泣き叫ぶ心を、
未来への想いで中和しようとしたんだ。