Eno.76 アルジェント

黄金の光 1

ゾンビでもグールでもない…私は、レヴナントだ。
ああ、そうだ。
私は自分自身でこうなることを選んだんだった。
ただ食欲に突き動かされる死肉ではない。
私は、明確な目的があってこの世を彷徨っている。

…よかった。
漂流した人々と同じ船に乗ったとしても
この手が人を襲うことはないだろう。
それだけが、ずっと気がかりだった。
他人の未来を、この手が奪う可能性が怖かった。
けれど、もう大丈夫。
私はちゃんと、何を果たすべきか思い出した。

故郷へ。
故郷へ帰ろう。

私への感謝を忘れて、
あまつさえ私を殺し、海へ捨てた
あの愚か者たちがいる場所へ。

帰ろう。