Eno.105 シノノメシスター

遭難記#3_成行

私がどうして聖職者これになったのか。
それは、自らの身を投げた時にまだ息が残っていた私をあの人が拾ってくれた。

緑茶のような髪色に黄金こがね色に爬虫類のように鋭い瞳孔が入った目の壮年の男性。名を天原光あまはらみつると言っていた。
ちょうど私が落ちた近辺で教会をやっていた聖職者だった。
トンチンカンなことを言う人だった。自分は昔は天使で、えらい所でお仕事してて、その時はリチャードという名前だったとか。そんな、非現実的な話。そもそも天使って言い伝えによると天界から降りてきて人の子に生まれ変わって地上の様子を見に来た天使は、二十歳までには命を絶ち天界に戻らないと行けないという掟がある。この男は、どう見てもその年齢をゆうに超えている。だから、これはトンチキなのだ。

その人の元で拾ってもらい、あの戦いの時につけていた眼帯、服、義手義足を整えてもらった。本当にこんな辺境に落ちてたコウモリをよくここまで良くしてくれた。
明らかに私より年下ではあるんですけどおじいちゃんみたいな人だったなぁ。

…なんていう回想話です。この後大罪犯して捕まりましたあの人。んでもってなぜか行方不明になった。
ので、ここからは私が教会を引き継いでいます。