Eno.112 【空繋ぐ機装魔導師】七曜

新四章【絶望の果てに】

「…………ここまで、か」

 かつての友人が見た「果て」の景色は
 遠く、眩く、届かない

 あの時は一歩手前で夜明けの赤に阻まれた
 次の時はあの子の憧れに阻まれた

 もう一度信じて星に願っても、事態は悪化するばかりだった

 だからもう信じないと誓ったのに

 ……

 …………そっか

 君は、もう、


 光も弱まり、自我がぼやける
 崩壊した精神を繋ぎ止めてたものが溶けていく

 きっと僕は運命を壊せなかったのだろう
 友達も、飛鳥も、僕の力じゃ守れそうになくて
 赫に縋ってもなお、かつて彼の見た景色には届かなくて

 だからこそ、XXで見たあの眩い光が
 XXXだってすぐにわかってしまって

「…………そっかぁ」

「そう……」

「……あはは」

「あはははははははははははは!」

「理とか、秩序とか、正義とか。そんなのどうだってよかった」

「もう一度みんなで笑い合いたい。ただそれだけだったのに」

「……それすら、運命お前らは叶えてくれないの?」

 自身に力を与えた、朽ち行くソレを睨みながら
 涙は赫と紫の混ざった光と共に流れ落ちて行く

 抗えなかった運命を憎み、呪いながら、それでも唱える
 祈るように、懺悔するように
 それは、力が失われてもなお出来る唯一の事だったから

 全ての戦士達に星々の導きがあるように

 そして、どうか、願わくば、

 残酷な運命が、喪失が、少しでも減りますように



「狂ってしまえば、楽になれる」

 目が覚める前、かつてのボクの声が聞こえた

 そうだ。あの頃のようにただ笑って
 孤独も、憎悪も、全て忘れてしまえばいいんだ

 全ての感情を宝石箱に閉じ込めるように
 宝石箱を深くて暗い海底うなぞこへ沈めるように

 何もかも忘れて、真っ白になって……

 今度こそ、

 それが出来たら、苦労してないんだけど