Eno.66 浅岡百合子

リリィ-ごめんなさい

 
しないっていったのに
約束したのに
身体がとっても重い

……いや、今までよりは全然動くけどね!?

水面があがってきている
この前まで歩けた場所が、もう海の中

もうすぐ、さよならの前にこの島から、うちらは
そう思うと

――どうか、どうか

みつかりませんように
もし知られても
どうか、みのがしてくれますように

例え、ここが寄り道だったとしても
うちはやり残したことで後悔したくない
これなら__できたな~、なんて思いたくない
ごめんなさい
それだけは、譲れないんだ
あの時負けたから、だけじゃない
いつだって、なんだって、
そう思ったときには、もうできないこと
しておけばよかったなんて、もう思いたくない
うちの、
    浅岡百合子の、どうしても譲れないもの

これは、誰にも止めさせられない
止めさせたくない

怪我はしてない。
ただ、重いだけ。
鈍い痛みになって、筋肉に現れてるから
それが落ち着くまで、できるだけ綺麗な布と糸…裂いた布と、骨で作った針
元々小さな穴を開けるなんて難しいから、少し太くても大丈夫
選んで、一針通しては引いて、縫っていく。
痛みが落ち着いて、神経使った分気持ちもつかれて
深く眠れるように
だけど、いいものになるように

千人針って、きーたことしかなかったけど
端を結んで、針を通して、玉留めする
それたけのことに、お願いする人も、縫う人も
想いを込めることは、できるんだね