Eno.76 アルジェント

黄金の光 2

クロウさんには…少し嘘をついてしまいました。
故郷に帰ることだけが、私の目的ではありません。

今、私を心臓の代わりに動かしているのは
黒くて冷たい、けれど、赤くて熱い…怨嗟の炎。
あの恩知らず共には神の裁きではなく、
自らの手で裁きを下す必要がある。
…なんていう、ひどく歪んだ感情です。
それを、彼に伝えるのはしたくなかった。

…結果、友に嘘をつきました。

彼の今までしてくれた行いを穢すようで…
心が痛むけれど、これはきっと
誰にも言ってはならないことなのでしょう。

本来ならば、復讐などすべきではないことです。
けれど、自らの死を覆すほどの怒りが
私をまだ動かしているのだから、
例え間違っている行為だろうと。

必ず、あの者たちを。

地獄に送ってやらなければ、気が済みません。