Eno.736 円寺院エルザ

日記8

ざざーん。

朝早く目が覚めたので、少し浜辺を散策します。

ざざーん。

海の音。この島に来て1週間、この音は変わりありません。

ざざーん。

それでも私には、この音を聞く余裕が少し出てきたようです。

思えばいろんな事がありました。

流れ着いて、皆を捜し回ったこと。
皆で力を合わせて生きていこうと誓ったこと。
お魚を釣って捌いて食べる体験。
蒸留器が完成した喜び。
どんどん大きくなっていく倉庫。
何でも自分で作る楽しさ。

そんな日々を想いながら、遠くを見つめていると、一隻の船がこちらにやって来るのが見えます。救助船が、昨日の花火を見て駆けつけてくれたのです!

「……!!皆さん!!船です!!船が!!」

興奮を抑えきれず、走って拠点に転がり込むと、そこにも船がありました。

「……船、ですね」

脱出用の小型船が、いつでも進水出来る状態でそこにありました。

「ふふ……ようやく完成したぞ!莉莉不沈丸が!!」
「ここまで長かったですね……」
「あぁ、これでこの島を脱出出来る」
「ミンナ!!カレー出来たヨ!!」
「よし、完成祝いに酒でも飲むか!!」
「んふーんふー」

私は救助船のことを報告しそびれたまま、カレーを食べました。美味しかったです。