しらなくてもいいこと
とあるところに、病弱な女の子がいました。
女の子は、描いた絵を実体化させる力を持っていました。
その力は、絵心師と呼ばれていました。
病弱だから、友達がいない。
寂しがりの女の子は、
おもちみたいな生物を描きました。
それは実体化し、女の子の良き友達となりました。
◇
けれど運命の女神様は残酷です。
女の子はこの友達を残し、病死してしまいました。
残されたおもちは、ひとりで生きていくしかありません。

──咲き爆ぜる熱。
おもちが名付けたその花火、
おもちのネーミングではあり得ないもの。
数多に飛ぶ空の華に惹かれて、
女の子の魂が刹那だけ、友達に宿ったのでしょうか。
この漂流の後も、おもちは生き続けます。
絵筆で描かれた不思議な生物。
本来なら何処にもいない存在。
それでも。

おもちは おもち です。
これまでも、これからも。
ひとりになっても、生きていくのです。