Eno.112 【空繋ぐ機装魔導師】七曜

最終章【もう大丈夫だよ】

「ただいま~、めぐ連れて来たよ~」
 おばあちゃんが母さんと一緒に帰ってきた

 母さんは赤い服を身に纏ってて、髪も束ねてなかった
 見た目も違うし所々子供っぽくなってるが、それでもちゃんと母さんだった

「……ねぇ、華奈さん。飛鳥に僕の魔力を注ぐ事は可能か?」
「注いでも気休めにしかならないんじゃないかしら」
「恒常的に注いでも?」
「そしたら少しはマシになるかもだけど……
 そんな事したら力が前以上に弱まるわよ。せっかく星詠になったのに」
「飛鳥を助けられない力なんていらない」
「……そこまできっぱり言われたら何も言えないわね」
 そんな話し声が聞こえた気がした


 無事に目的は果たせたのか
 母さんとマスターは二人で眠る事が増えた

 母さんに関しては一応時々起きてくれるし、たまに出かける日もある
 でも魔力が減ってるからかすぐ眠くなって寝てしまうようだった

「静空、心配かけてごめんね」
「ほんとだよ。ツルバミとか名乗って、一人で抱え込んで……」
「う…………」
「でも、またこうして話せて良かった」
「静空……っ!」
 母さんは涙目になりながら私を抱きしめた
 あれから、母さんは今まで以上に涙もろくなったり、素直になった気がする
 魔力を分け与えたとは聞いてたけど、一体どんな事が起きたのか
 それを私はまだ解明出来ていない


「……じゃあ、キャンプ行ってくるね」
 荷物を持って、母さん達に手を振る
「ちゃんと無事に帰って来るんだよ」
 相変わらず心配症だな。なんて思っていたが
 一時は無事に帰れるか怪しかったから、何とも言えなくなる

 でも、もう大丈夫
 戦士のみんなとお兄ちゃんのおかげで約束は守れるよ

 帰ったら、ヵヮョさんの伝言を伝えなきゃ
 きっと母さんは喜んでくれるはずだ
 他にもたくさん話したい事がある
 おばあちゃんが羨ましがっちゃうようなものまでたくさん

 だからみんな、楽しみにしててね