Eno.148 サトウ

無題

帰りたくないと思ってしまった。


俺は寮暮らしの普通の高校生。
……いや、普通じゃないかもしれない。

長期休暇に帰省をすると、確実に変な色に髪を染められ、
よく分からないコスプレをさせられて、
かかった費用は請求され、バイトして返済していく。
そんな感じの生活。
逆らったら誰に育ててもらってるってキレられる。
もう諦めた。

この間帰省して冬休みに髪をピンクにさせられて、
なんかその頃から慣れてた高校生活でも腫れ物みたいな扱いになった。
正直あんまり楽しくない。

無人島に来た時、これはちょっとチャンスかもしれないと思った。
けれど転んだり色々あって、俺にこういう生活は向いていないと気付いた。


ここにいる人たちは、楽しい人たちだ。

俺が怪我しても注意だけで済ませてくれた。
時々はっちゃけたりする人もいたけれど、
協力して、協力して、最後は穏やかな時間を過ごせている。

キラキラした世界にいる人にも悩みがあって、
みんな人間なんだな、って思ったりもした。
……一人羽がある人もいるけど、細かいことは置いておく。


あの船に乗らなければ、俺は自由でいられるだろうか?