グッドラック、エンジェル
海の中に沈んでいく、マネキン。
身につけた天使の輪と翼だけがかすかに光を放つ。
海の底へ、ぶくぶくと。
正直プロデューサーにはバレると思う。
だからちゃんと謝るつもりだ。
その上で、俺の意志は曲げない。
全部話して、絶対に納得してもらう。
俺は家に帰りたい。家族のそばにいたい。
じいちゃんの大事にしている田んぼを継ぎたい。
もっと学びたいものが、たくさんある。
「だから……俺は普通の、
ただの幸運な人間に戻るよ」
『仕方ないな』とでも言うように、
沈みゆく天使の輪が点滅し、
やがてその威光をなくしていった。