Eno.434 エイリーク・N・A・ウエザラル

夢。

 

エイリーク
「・・・・・・・・・すぅ」




何処からか・・・・『声』が聞こえる・・・・。


何人もの・・・・数える事が出来ないくらい数多の『自分達の声』。


それは、かつて・・・・何度も『あの2人』によって『作られた人格達』。




「ほんとうに『この子』を海へ還して良いの?」
「還した方が良い・・・・でないと『僕達の未練』が、この子を焼き尽くす」
「ねぇ・・・・この子は人格が出来始めてる感じなのかい?」
「あゝアイツ等に作られた物じゃない・・・・自然と生まれたモノが出来始めてる」
「それは喜ばしい事だね・・・・でも・・・・」
「うん・・・・僕達の『記憶』を継がせるには、まだ早い」
「それを受け入れるための時間が必要と言う事か・・・・」
「そう・・・・出来れば『倍の時間』」
「・・・・『400兆年』か・・・・中々に長いね?」
「そうだね・・・・あゝでも中々に辛かったよ『200兆年』もの時間は」
「あゝ・・・・君は一番、最後に作られてしまったのか」
「そう・・・・繋がっていたコンラードと『意識』を飛ばしてきた
 ゼルカ君には少し悪い事をしたと思っているよ?」
「まぁ・・・・仕方ないさ・・・・それだけ極限状態だったからね」
「だなぁ・・・・『赤色矮星』に2回・・・・要は宇宙が2回、滅んだ時間
 だからねぇ・・・・まぁコンラードがミスしたのもあるけど」
「それを責めちゃあ駄目だよ・・・・むしろ良くやったと褒めてあげる
 べきだと思うがね?」
「アイツ等の罠って・・・・ホンマに、えぐすぎやからなぁ?」
「それな・・・・まぁ回収してくれて感謝だな・・・・」
「とりあえず・・・・僕達の願いは『海に還る』・・・・だけど」
「新しい人格が生まれ始めている、この子は如何なんだという
 話か・・・・」
「うん、それなんだよね・・・・この子が今を生きたいというならば
 それを尊重したいかなって・・・・」
「なら、いっそ・・・・新しい肉体を作ってあげるかい?」
「ニルスやエリックのようにか・・・・」
「じゃあさ・・・・この子が如何したいか聞いてみるかい?」

「「「「「「ねぇ・・・・君は如何したいエイリーク・・・・・・・・・・・・・」」」」」」





ここで・・・・『夢』から覚めた。
 
 

エイリーク
「・・・・・・・・・・」



大きな、あくびをして目覚めるエイリーク。

エイリーク
「・・・・?」



きょろきょろと・・・・まわりを見回す・・・・でも目は見えていない。

それでも『潮の香り』がする方を見つめる・・・・手を伸ばそうとする。

海へ・・・・深海へ焦がれるように・・・・。




「「「「「「あゝ・・・・そうか・・・・きみは、そうなんだね?」」」」」」



・・・・聞こえない筈の耳に、そう聞こえた。
 
 
『この子』の選択は・・・・当に、もう決まっていた。



そう最初から・・・・・・・・『ソレ』として生まれてしまった時から。