Eno.528 わしししょう

いまをもちかえるわしたち

やってきた船が安全か確かめるため、まっさきに駆けたのは、
ずっと皆のために木をきってくれていた女の子です。
武器もしっかりかまえて、じつに勇ましいものです。

「てきぱきとして力も強い者というのは……頼もしいのじゃ!」


どうやら船はしっかり救助船で、出航までまだかかるよう。
だからもうすこしだけ、拠点で。皆でつくってきた場所で。

クラッカーでお祝いの音をたて、お次はカメラで思い出をのこす音。
にぎやかに拠点にひびきわたります。カシャ! カシャ! カシャ!

「写真は、思い出を鮮明に残せるものなのじゃ。
 ……本当に、よい思い出と、土産ができたのぅ」


はしゃぐ声もいつも以上に、楽しい色にそまっていたことでしょう。
それぞれに写真を交換したあとは、出航までの時間を、思い思いに。

島がしずむまで、あとわずかです。