Eno.16 ミオソティス

【16 “永遠の思い出”】

 
 ニライから贈り物を貰った。
 それは弓と勿忘草を重ねたような模様の描かれた、
 弓を使う時に使うグローブだった。

 僕のこれまでの努力をニライは見ていた。
 そんな僕の為にわざわざ、作ってくれたそれ。
 宝物にするよ、ありがとう。

「──せいぜい幸せを
 馬鹿みたいに重ねてくれよな」


 忘れない、忘れない、永遠に──

「……ニライも、元気でね!」



  ◇

 女の子なのに男の子の格好。
 こんな僕はおかしくないかな、
 クライルに尋ねたら。

 変じゃないよって言ってくれた。
 どんなしがらみにも縛られず、
 自由に羽ばたけるミオの方が好きだって。

 僕が変わりたいと願ったら、
 それをクライルはありのまま受け入れるって。
 嬉しかった……な。

「……僕、このままでいいんだね!」



 ありのままで、“僕”のままで。
 いつかは“私”も愛せるようになるのかな。

  ◇

 夜。ムーが美味しいデザートをご馳走してくれた。
 プリンアラモード。無人島で、
 そんな贅沢なものを食べられるなんて。
 この味も、忘れない。最高に美味しかったんだ。

 リシアンサスが、僕に指輪をくれた。
 リシアンサスの花を模した
 それにつけられた名前は、『永遠の愛』

 リシアンサスの花言葉。

「……愛してるよ、リシアンサス」



 愛してるんだ、愛してる。

   ◇

 その後で花火を打ち上げた。
 ヘリクリサム。花言葉は、
 永遠の思い出、いつまでも続く喜び、黄金の輝き、記憶。
 この日を、僕は忘れないよ──ずっとずっと。



 クライルが泣いてたのは、
 やっぱり別れが寂しいからなのかな。

 さようなら、島の日々。
 さようなら、永遠に残る刹那よ。
 この黄金の輝きを、僕はずっと記憶してるから──