百花の女王
牡丹の花が風に揺れる。
沢山の日差しと水を浴びて元気に育つ。
そうして大切に育てられてきた、牡丹。
『貴女はいずれ皆を導く存在になる。そうならねばならない』
生まれた頃からずっと言われてきた。
「芍薬は?双子なのに、なんで牡と違うの?」
何度も聞いたけど、誰も答えてくれなかった。
そのうち諦めて、何も思わなくなった。
ただ、彼女からの刺すような視線だけは時折感じる。
けれど彼女も何も言ってくれない。言ってはいけないのかもしれない。
私が何をしたというの。
私はただ、皆から言われた事をしているだけなのに。
ただ、昔のように君と仲良く笑い合いたいだけなのに。
君は私の消滅を望んでいる。
なら。
……ならば。
なんて、この島に漂着した直後はそう思っていたのになぁ…。
沢山の日差しと水を浴びて元気に育つ。
そうして大切に育てられてきた、牡丹。
『貴女はいずれ皆を導く存在になる。そうならねばならない』
生まれた頃からずっと言われてきた。
「芍薬は?双子なのに、なんで牡と違うの?」
何度も聞いたけど、誰も答えてくれなかった。
そのうち諦めて、何も思わなくなった。
ただ、彼女からの刺すような視線だけは時折感じる。
けれど彼女も何も言ってくれない。言ってはいけないのかもしれない。
私が何をしたというの。
私はただ、皆から言われた事をしているだけなのに。
ただ、昔のように君と仲良く笑い合いたいだけなのに。
君は私の消滅を望んでいる。
なら。
……ならば。
なんて、この島に漂着した直後はそう思っていたのになぁ…。