Eno.114 小浦千重

出航へ

救助船が来たことで助かることは出来た。

ただ、心残りがある。
それは自分が乗ってきた船、■■■丸(汚れて読めない)のことだ。
あいつに乗って長い間旅をして来た。
そして死んだ後も共にいた最後の仲間だ。

既にもう動かなくなってしまっているが、あいつの設計図はまだ残っている。
あいつを、あいつの兄弟船をつくってやりたい。

船の建造は既に不要であったが、何人か作ることに賛成をしてくれた。
船の主体として荷車が必要となり、今までの遭難生活で活躍してくれていた
『夜盟号』を利用させてもらうことになった。

大量の木材が必要となったが、大勢の協力で集めることが出来た。
作った船は、この島と元の荷車の名前をとって『輪廻・夜盟丸』と名付けられた。

無事に完成させることができた。
あとは、脱出に必要な用具をまとめて出発だ。

何人かが『輪廻・夜盟丸』に乗ることになった。
どんな旅立ちになるのだろうか。

そろそろ、俺の無念も晴れそうだ。
この身体の女。いや、小浦には本当にお世話になった。
早く身体を返してやらないとな。