No,23_星の記憶
どうやら、此の土壇場で。
例の、星の記憶とやらを完成させた、らしい。
出来上がった其れが、光となって消えた、其の刹那に聞こえたモノが在った。
"その海は数多の術者が挑み、そして敗れた海だ。
土地はなく、ただ広大な海だけが広がる、乏しく虚しい世界。
それを変えんと有力者が集い、そして皆等しく匙を投げた。
神秘、魔法、科学、奇跡……
遍く術の混ざりあったその海は、いつからか自我に近しいものを得ていた。
やがて、とある術者が世界の境界を開いた。
隔絶された世界の境界がこじ開けられたことで、その世界は瞬く間に歪んでいった。
術者の成果を蓄えた膨大な海は、その境界を我が物としたのだ。
他世界の海を取り込み、資源を溜め込んでは海を吐き出し、再び取り込む。
海は、いつからか貪欲なる海と化していた。
そして長い年月を経て。
かの海は多くの資源を蓄え、そして誰かに奪われる日々。
そんな『魔の海』は、今日も晴天の元に佇んでいる。"
それと、更に土壇場で見つかった石碑とやら。
『研鑽重ね究めた我が術が果ては、やがて海とひとつとなり、多くのものを蓄えるであろう。
外海の糧を飲み、富める海へと成った暁を我が見ることは叶わぬが、我は既に満たされた。
沈みゆく我が故郷レムリア、この碑に刻み記し、かの海へと遺さん。
どうか、意志なる晶を手にこの碑文を読む者が現れんことを祈る。』
…………誰かが言ったが、全くもって傍迷惑な話だ。
だが、だからこそ。
何故、あの“画廊”に、此処に通じる“絵画”が現れたんだ?
例の、星の記憶とやらを完成させた、らしい。
出来上がった其れが、光となって消えた、其の刹那に聞こえたモノが在った。
"その海は数多の術者が挑み、そして敗れた海だ。
土地はなく、ただ広大な海だけが広がる、乏しく虚しい世界。
それを変えんと有力者が集い、そして皆等しく匙を投げた。
神秘、魔法、科学、奇跡……
遍く術の混ざりあったその海は、いつからか自我に近しいものを得ていた。
やがて、とある術者が世界の境界を開いた。
隔絶された世界の境界がこじ開けられたことで、その世界は瞬く間に歪んでいった。
術者の成果を蓄えた膨大な海は、その境界を我が物としたのだ。
他世界の海を取り込み、資源を溜め込んでは海を吐き出し、再び取り込む。
海は、いつからか貪欲なる海と化していた。
そして長い年月を経て。
かの海は多くの資源を蓄え、そして誰かに奪われる日々。
そんな『魔の海』は、今日も晴天の元に佇んでいる。"
それと、更に土壇場で見つかった石碑とやら。
『研鑽重ね究めた我が術が果ては、やがて海とひとつとなり、多くのものを蓄えるであろう。
外海の糧を飲み、富める海へと成った暁を我が見ることは叶わぬが、我は既に満たされた。
沈みゆく我が故郷レムリア、この碑に刻み記し、かの海へと遺さん。
どうか、意志なる晶を手にこの碑文を読む者が現れんことを祈る。』
…………誰かが言ったが、全くもって傍迷惑な話だ。
だが、だからこそ。
何故、あの“画廊”に、此処に通じる“絵画”が現れたんだ?