cold-told
私は物心ついた時から、書物に囲まれていた。
内の世界を語るものはそう多くなく、外の世界について記されたものが大半。
そうでなくとも、既に失われた概念についての書。
一部を除き、与太とも情報とも呼べるかもわからない……
そんな書物たちが、父の書斎には蓄えられていた。
あそこにあって今日の私を作った書が、二冊ある。
一つ、外界について語る書。
私はこのせいで、今も真の太陽を見んと足掻いている。
ただそこに記されている通りのものを見る気はないし、この書は切欠にすぎない。
全く予想外の物がそこにあっても、それは確かに都市の外側だ。
一つ、呪術について語る書。
私はこのせいで、今日まで生き延びたと言っても過言ではない。
そして、今日まで私を太陽から離れた場所へと足を運ばせてきたのも、
この書に記されている事柄ゆえだ。
そして、今回の体験を経て、私は新たに作られた。
外界でも呪術でもなく、そう…… 内側の本を読み終えた気分だ。
内側にあっては、読めなかった。
この絶海という外に出て、初めて装丁された姿で私の前に現れた。
大きな区別などではなく。
人というものを、知れた気がする。
――我が鎚を取り巻く冷気が、ささやく。
一人の力でも、"三つ"の力でも見られぬ太陽なら、"一番下"から天頂を目指してみるのも悪くないと。
内の世界を語るものはそう多くなく、外の世界について記されたものが大半。
そうでなくとも、既に失われた概念についての書。
一部を除き、与太とも情報とも呼べるかもわからない……
そんな書物たちが、父の書斎には蓄えられていた。
あそこにあって今日の私を作った書が、二冊ある。
一つ、外界について語る書。
私はこのせいで、今も真の太陽を見んと足掻いている。
ただそこに記されている通りのものを見る気はないし、この書は切欠にすぎない。
全く予想外の物がそこにあっても、それは確かに都市の外側だ。
一つ、呪術について語る書。
私はこのせいで、今日まで生き延びたと言っても過言ではない。
そして、今日まで私を太陽から離れた場所へと足を運ばせてきたのも、
この書に記されている事柄ゆえだ。
そして、今回の体験を経て、私は新たに作られた。
外界でも呪術でもなく、そう…… 内側の本を読み終えた気分だ。
内側にあっては、読めなかった。
この絶海という外に出て、初めて装丁された姿で私の前に現れた。
大きな区別などではなく。
人というものを、知れた気がする。
――我が鎚を取り巻く冷気が、ささやく。
一人の力でも、"三つ"の力でも見られぬ太陽なら、"一番下"から天頂を目指してみるのも悪くないと。