Eno.26 アルセ・K・ディアス

救助船に乗って

今は出航を待っている。流石にこの世界の強制による強引な後押しがあるとはいえ流石にもう7日も実体化を解けていないとなると流石にきついものがある、普通ならもうとっくに行動不能になっているレベルだ。

土産も十分過ぎる程持った。この場所に眠る記憶も自らに刻んだ、やるべき事は終わらせた。後は帰りを、別れの時を待つだけだ。
いったい俺がどれだけの間覚えていられるのかは解らないが。もしかしたら普通の人間よりずっとずっと長く覚えていられるかもしれないしな。

帰ったらやるべき事は多いが、流石にまずは休みたい……もう二度とこの世界には来たくないな。ここでの生活は確かに大切な思い出ではあるが、とんでもないイレギュラーだった事には変わらないのだから、これが当たり前になるのは勘弁して欲しいしな。後実体化解けない負担が重すぎるし。良く持ったな俺。

やっと帰れる、家族に会える。これで今回の滅茶苦茶な冒険は終わり。

……しかし、『あいつ』の異世界渡りも含めて良いのなら俺が異世界に行ったのはこれで四度目か、どうしてここまで色々と世界を転移する羽目になるのやら、正直もう無いと助かるのだが。