Eno.16 ミオソティス

【17 そして船は】


 花火を打ち上げた後、みんなで船に乗った。
 街から出たことのなかった僕は、
 船を見るなんて初めてだった。

──そして、船は行く。

 海は僕らの島を覆い尽くした。
 楽しかった毎日は、終わりを告げたんだ。

 この船はやがて、
 それぞれの帰る場所へと着くのだろう。
 そしたらその時が、完全なる夢の終わりだ。
 あと少ししかない時間を、大事にしようと思った。

「…………」