Eno.231 けだま まひる

船の上

往生際悪く、ギリギリまで拠点で粘ってた。

持っていた花火も結局こっそり置いてきてしまった。

本当は派手に打ち上げて船に飛び乗ろうと思ってたけど、残る人がいるならそれは偉業達成なのかあやしいし。

この島にいる間、付かず離れずの交流しかしていないのに、みんな心配したり助けてくれたりした。

こんなギリギリにならないと、いや、なっても思ったことを行動に移すのはとても難しい。

波の音、揺れ、勢いに任せて乗った船の上。
大丈夫、みんなの気配がちゃんとある。
賑やかで、ちょっとさびしい。


船の上で、花火の音が聞こえた。
涙が出た。

ありがとう。