Eno.297 ハイウェイマン

Etifild 2

(前々回日記、手癖でEtifieldにしてました)

『ここからどうする?』

何とか脱出した十数人をまとめて移動中、仲間の一人が尋ねてきた。
自国が大陸の西、相手が北なので、まずは残党狩りのうろついてない南へ。

『帰ったら帰ったで、一時金がそのまま借金になるだろ。大体どこの家も。』

勝った戦いでの戦死者には弔慰金が支払われる。人数も知れているし、勝ちに伴う何らかのプラスで埋め合わせる事が基本出来るからだ。

それに対して、負けた戦いでは状況は真逆になり、弔慰金を払っていられない。
その際の方便が“生死不明”と“一時金”だ。
捕虜になっていた場合の身代金に当てるべき金で、帰ってきた場合には返済義務が生じる。

そして庶民は、常時借金の一つや二つ持っている。一時金を丸ごとキープしておける家は少ない。
お陰で敗残兵は故郷に帰り辛いルールになっている。

村の有力者にとっても、武装した人間が一塊になって村に帰って来るのは嫌なのだろう。




「……出来れば、だけど。戦う相手は自分達で選びたいよな。」

戦場によって活躍出来るかどうかが極端に変わるダミアンがうなずく。今回の戦いは特に負荷のかかるものとなったようだ。
そして軍に戻れば、遅かれ早かれ同じような戦いは回って来るだろう。


『あと、戦う事以外からも仕事を選びたい。』
元来争いを好まないエミールが言う。画家志望のブルノもうなずく。

この二つについては、ついて来た兵士達も含めて満場一致で決まった。

そこから、今後のことについて色々話を進めていったり、行き当たりばったりで決めたりした。

その辺の賊よろしく廃集落に住み着き、周辺の村で何か仕事になるような事を探していった。
どこにでもいる半裸で石を投げて来る賊を狩ったり、村の自警団を訓練したり、近くで戦闘があったら持ち主の居なくなった空馬を回収したり。

街道を修繕したり、村だけじゃ出しきれない修繕のための費用をちょっと道行く人や隊商から募ったり……

街道絡みの仕事が多かった事と、多少は法の外に足を踏み出していた事から、いつの間にか自分達は『ハイウェイマン』と呼ばれるようになった。