経界
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見覚えのないものを荷解きの最中に見つけた。
端切れと枯れ草のぬいぐるみ。
ふたりのどちらかが仕込んだのだろう。
一体どっちがと少し考えて、まったくわからない己に驚いた。
それくらい、私はふたりのことを何も知らないまま別れたから。
もう少し話せば良かった、とか、せめて別れの一言でも、とか。
そんな甘い考えとうっすらとした後悔が浮かぶ。
同時に手作りの小舟も思い浮かんだが、
もう互いの海が交わる事も、できるコトも、ない。
せめて、魔の海を進む舟の無事を祈る。
嗅ぎ慣れた潮の匂いと、澄んだ海が近づいてきた。
また闘技に身を投じる日々が始まる。