13:報告書終
─────以上が各ロケーションについての見解である。
…………………
………
……
以降記されるのは、船が果てに到達した後の話である
船に乗った俺は、いつの間にか意識を失っていた。
目を開けると、青空が広がっている。けどもその下は半分は海だけど、岩混じりの岩礁だった。
また流されたか……?とゆっくりと体を起こす。
「ッ………」
頭が痛い。投げ出された時に頭でも打ったか。
しかし、なんだろう。なんだか見覚えがあるような場所だ。どこだっけ……
「……居た!!!居たよ!!!!」
「……!」
聞き覚えのある声がしたかと思えば、足音がふたつ。
どたどたと来たふたつの影は、俺の傍に来て止まった。
「ニライ!ニライなんだよな?!」
「どうやって帰って……ううん、今はいいや。それより、怪我。怪我が……!」
オリーブグリーンの髪と、コバルトブルーの髪が目に入る。
同期で親友であるイーハと、上司だけど、同じく親友のカルナ。
「お、落ち着け。大丈夫、多少な……ら………」
立ち上がろうとして、ぐるりと世界が回った。力が入らない。あ……れ…………
「ニライ?ニライ、ねえ!……ダメだ、気を失って…………」
「……けい、はや………………」
─────────
そのあと目を覚ましたのは、医務室で。失血によって気絶したのだと言われた。
少し回復した頃に、挨拶と謝罪まわりに行った。
レギン隊長には軽いお小言は貰ったが、それ以上にめちゃくちゃ心配された。
師匠からは「鍛錬が足りんな!」なんて笑われてしまった。けど、肉食って休めって。
ヤマトは……今日はいなくてよかった。
アガルタには、なんだろう。「よかった」とだけ言われたな。
とにかく今は、1度部屋に戻ってきていた。
あの島は夢だったのだろうか。いや、けど、それにしては様々なことがリアルすぎた。夢だと思いたくはない。
部屋のノックが鳴る。入ることを促すと、そこに居たのはカルナだった。
「カルナ。どうしたんだ?」
「うん。きみが流されてきたところの隣に、流れ着いてたものがあったんだ。本来は調査対象として接収されるけど………隠蔽してきちゃった」
「なんて?」
よいせ、とカルナが収納魔法付きの箱を置く。しかし、何が入っているんだろうか。
「僕も見たいし、開けてみてよ」
「おう。ちょっと待…………て………………!」
ねこのぬいぐるみ、旧式斬鉄斧………それに、蒼い御守りにふたつのポプリと勿忘草。
あの島で、友人たちに貰ったプレゼント。
「…どうしたの、ニライ。泣いてるよ……?」
「えっ……」
はた、はたと落ちた涙に気が付かなくて。
袖で涙を拭う。
「……いや、なんでもねえ。ただ、ありがとな、カルナ。大事なんだ、これは………」
「……深くは聞かないよ。君が流され着いたって言う島のことで、言いたくないことがあれば言わなくてもよくするからさ、今は」
きちんと、休んでね。そう言ってカルナは出て行った。
──────────
数日後には回復して、師匠の訓練に復帰もはじめた。
無くしたと思ったガンブレードは、どうもカルナやイーハが持っててくれたらしい。良かった。
「ニライ!!!遅れんぞ?!?!!」
「今行く!!!」
朝の忙しい時間、イーハに呼ばれて部屋を飛び出す。これから、森林地帯の調査任務だ。
これからも、この憎悪と渇望は消えないだろう。
けど
それが思い出と同居しちゃいけねえ道理はねえだろ?
オレンジのリボンが巻かれたポプリが風に笑った。
ハーデンベルギアと、勿忘草のポプリが本棚から見ていた。
蒼の御守りを脚元に抱えたねこのぬいぐるみが、ひなたぼっこに目を細めていた、気がした。
End_To be Continue.
…………………
………
……
以降記されるのは、船が果てに到達した後の話である
船に乗った俺は、いつの間にか意識を失っていた。
目を開けると、青空が広がっている。けどもその下は半分は海だけど、岩混じりの岩礁だった。
また流されたか……?とゆっくりと体を起こす。
「ッ………」
頭が痛い。投げ出された時に頭でも打ったか。
しかし、なんだろう。なんだか見覚えがあるような場所だ。どこだっけ……
「……居た!!!居たよ!!!!」
「……!」
聞き覚えのある声がしたかと思えば、足音がふたつ。
どたどたと来たふたつの影は、俺の傍に来て止まった。
「ニライ!ニライなんだよな?!」
「どうやって帰って……ううん、今はいいや。それより、怪我。怪我が……!」
オリーブグリーンの髪と、コバルトブルーの髪が目に入る。
同期で親友であるイーハと、上司だけど、同じく親友のカルナ。
「お、落ち着け。大丈夫、多少な……ら………」
立ち上がろうとして、ぐるりと世界が回った。力が入らない。あ……れ…………
「ニライ?ニライ、ねえ!……ダメだ、気を失って…………」
「……けい、はや………………」
─────────
そのあと目を覚ましたのは、医務室で。失血によって気絶したのだと言われた。
少し回復した頃に、挨拶と謝罪まわりに行った。
レギン隊長には軽いお小言は貰ったが、それ以上にめちゃくちゃ心配された。
師匠からは「鍛錬が足りんな!」なんて笑われてしまった。けど、肉食って休めって。
ヤマトは……今日はいなくてよかった。
アガルタには、なんだろう。「よかった」とだけ言われたな。
とにかく今は、1度部屋に戻ってきていた。
あの島は夢だったのだろうか。いや、けど、それにしては様々なことがリアルすぎた。夢だと思いたくはない。
部屋のノックが鳴る。入ることを促すと、そこに居たのはカルナだった。
「カルナ。どうしたんだ?」
「うん。きみが流されてきたところの隣に、流れ着いてたものがあったんだ。本来は調査対象として接収されるけど………隠蔽してきちゃった」
「なんて?」
よいせ、とカルナが収納魔法付きの箱を置く。しかし、何が入っているんだろうか。
「僕も見たいし、開けてみてよ」
「おう。ちょっと待…………て………………!」
ねこのぬいぐるみ、旧式斬鉄斧………それに、蒼い御守りにふたつのポプリと勿忘草。
あの島で、友人たちに貰ったプレゼント。
「…どうしたの、ニライ。泣いてるよ……?」
「えっ……」
はた、はたと落ちた涙に気が付かなくて。
袖で涙を拭う。
「……いや、なんでもねえ。ただ、ありがとな、カルナ。大事なんだ、これは………」
「……深くは聞かないよ。君が流され着いたって言う島のことで、言いたくないことがあれば言わなくてもよくするからさ、今は」
きちんと、休んでね。そう言ってカルナは出て行った。
──────────
数日後には回復して、師匠の訓練に復帰もはじめた。
無くしたと思ったガンブレードは、どうもカルナやイーハが持っててくれたらしい。良かった。
「ニライ!!!遅れんぞ?!?!!」
「今行く!!!」
朝の忙しい時間、イーハに呼ばれて部屋を飛び出す。これから、森林地帯の調査任務だ。
これからも、この憎悪と渇望は消えないだろう。
けど
それが思い出と同居しちゃいけねえ道理はねえだろ?
オレンジのリボンが巻かれたポプリが風に笑った。
ハーデンベルギアと、勿忘草のポプリが本棚から見ていた。
蒼の御守りを脚元に抱えたねこのぬいぐるみが、ひなたぼっこに目を細めていた、気がした。
End_To be Continue.