Eno.88 ヤガー

おわり

紙が風に乗って流れゆく。さらさらと。
ほどけて散っていく。形を失っていく。
紙もインクも、時の前には儚いものだ。

それはかつて彼女を包んだ棺に納められていたものだった。
彼女が愛した彼からの最後のメッセージ。
それが確かにこの島にあった。
どうやら棺は壊れてなくなってしまったようだけど。

かつて紙であったそれはもうこれ以上風に乗ることもできず、名もなき島の地面にこぼれて落ちた。
やがてはそれらも海に沈み、そうして何もなくなるのだろう。




彼女がこの手紙を読めたかどうか────
それは今のところ、だれにも分からない。



■■■へ

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愛している
この■■■を燃やし、風■■■て、必ずあなたに会いに行く■■
どこに居ても、何千年かかっても
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