Eno.206 エンティティとフィン

帰るための 船の中で

島にやって来た救助船は、この海域の調査をしている一団らしく、
元の場所へと送り届けてくれると言う説明も、きちんと納得できるように行われた。

「はわ…うみを、ひらいて、もとのうみで…みんなで、わたしのおうち、いきます?」


若干名、追加で個別説明が必要な者も、いるにはいたが。

「いえ、全員が同じ場所から流されたわけではないので、
 それぞれの故郷にある港に送ってもらえる、と言う話になるでしょう。
 何となくそんな気はしていましたが、複数の世界と繋がっていると聞いた今なら、
 他の皆さんがいた世界は、我々のいた世界と別なのだと思いますし」

「わあ、べつのせかい!
 おねえちゃんや、おにいさんたちのせかい、わたしもいってみたいです!」

「そうですね。そのような縁も、また、あるかも知れません」


のんびりと二人で話しながら、さて、元の世界へ帰るまでの間は、

「では、持って来た食事を楽しみましょうか。
 いくらかは、船の従業員さんたちにも、お礼として渡しましょうかね」

「わーい!」

「……ところで、最後に荷物に加えた風呂敷が、動いているのは……
 あっ、やっぱり鳥とウサギを入れてたんですね!?
 連れて帰るなら、きちんと世話をするんですよ?」

「まかせてー、です!」


最後まで、でっかいのとちっちゃいのは、わちゃわちゃしている……


船上で、美味しいごはん!