独白
私は罪人だ。
だから流罪となってすべてを飲み込む海に飲み込まれに来たのだ。
──なんて、さすがにひどい冗談だろうか。
私の妻を捨て、私が捨てた世界は、私が去った後一体どうなったのだろう。
考えない訳ではなかったが、それでもこの願いには替えられなかった。
だけどこの島で出会った仲間たちを見ていたら、案外私がいなくてもやっていけるのではないかと、
そんな都合の良い考えが浮かんでしまう。
人間とは逞しい生き物だ。なければ新たに作ればいいとは、この島で学んだことだ。
遥かな海、ジーランティス。
この星の記憶を浴びたとき、私は確かに希望をみた。
すべてを取り込みひとつになるというのなら、やはり妻もこの海の中で眠っているのだ。
ならば私もそこへゆきたい。
混じり合い、ひとつになって、同じ墓で眠りたい。
魔性の海、ジーランティス。
どうか私の願いを聞き届けておくれ。
もう一度、私に名をくれた彼女に逢えるように。どうか。